ふたつの羽根


「久しぶり拓真」

「あぁ。美紀、何してんの?」


懐かしそうな会話…


「夏休み最後。友達と会ってた。今から帰る所…」

「今からって着いた頃には夜中じゃん」

「だね…」


そう言って微笑む美紀さんとは逆に、拓真先輩はどことなく淋しそうな顔つきをしていた。


小柄なのに目は大きくて鎖骨まである髪の毛が風で揺れるたびに、そっと細い小さな手で髪を払いのける姿は、あたしが見ても可愛らしいと思うような人だった。 


美紀さんはチラチラとあたしを見ながら口を開く。


「彼女?」


彼女?

そう呟き、どことなく淋しそうな顔をする美紀さん…