「ですね…」
「だりぃよなー」
両腕を真上に伸ばし背筋を伸ばす先輩を見てあたしは笑みを漏らす。
「ってか先輩達サボッてばかりじゃないですか?」
「そーんな事はねぇよ」
お互い笑い合って交差点の赤信号に差し掛かった時だった。
「…拓真?」
背後からの女の人の声で拓真先輩の身体は一瞬にして止まる。
一点に集中させて、その目線をゆっくり後ろに向ける拓真先輩を見て、あたしの身体は何故だか分からないけど緊張感が走った。
「…美紀?」
…みき?
拓真先輩が微かに呟いた後、恐る恐るあたしも振り向く。
そこには華奢で綺麗な女の人が立っていた。
この人は誰なんだろう…



