ふたつの羽根


こんな事して一体何になる? 

こんな事して自分を恥じたりして、その先には何があるの?


わからない…


きっと、わからないから進むんだ。


片手で額を押さえた瞬間、あたしの身体は素早く倒れ込んだ。

ソファーの冷たさが背に伝わると同時に閉じた目をゆっくり開ける。


「拓真先輩…」


あたしの目の前には覆いかぶさるようにして拓真先輩がいた。

あたしの耳付近に両手をつき拓真先輩の唇が密かに動きだした。


「俺、マジでヤっちゃうよ?」 


そう囁かれた声に身体がゾッとした。

今までなかったこの緊張感に、あたしの口は固く閉じる。 


何やってんのあたし達…


そう思ったのもつかの間、拓真先輩の顔はだんだんと下にさがってくる。


あと5センチ…3センチ…

唇が触れ合う。

1センチ…