ふたつの羽根


「ねぇ、陸はあたしの事好き?」


消えそうなぐらい小さな声で話すあたしに、陸は“急にどーした?”とでも言いたそうに見てきた。


「ねぇ、陸?」

「好きだよ」

「じゃあ、彩乃さんは?」 

「は?彩乃?何でアイツの名前が出てくんの?」

「あたし彩乃さんに出会ったんだ。陸と別れてほしいってさ…」


陸の目が急に大きく見開き「はぁ?!」と声を上げる。 

「アイツといつ出会った?」 

「8月の初め。彩乃さん陸と寄り戻したいってさ…。彩乃さんが言ってた、陸は年上しか興味ないって」

「おい、ちょっと待てよ…」 

「陸、あたしの事、本当に好き?」


陸の言葉を遮ってまで何回も何回も確認する自分が嫌になるぐらいムカついた。