「俺が言う事じゃねぇけど、里奈は俺ん時より先輩のほうが好きすぎてる。里奈はいつだってため込んでる。言えよ…素直になれよ」
「純也?」
純也はさっきとは違って、今まで見たこともない笑顔で口を開いた。
「俺さ、里奈と別れて初めてお前が大切だったんだなーって気付いた。勝手な事ばかりしていた俺が言う筋合いねぇけど、でも最後にこれだけは言っときたかった」
最後?
「えっ、最後って何?」
「俺、転校すっから。父親の仕事関係で…」
て、転校?
「い、いつ?」
「2学期始まる前」
「もうすぐじゃん」
「…だな」
純也は最後に「ごめんな。里奈」と、それだけ残し階段を掛け下りていった。



