ふたつの羽根


「じゃあ、あたしも言わせてもらうわね。あたしは陸が好きよ。だから関係を戻したいと思ってる。だからあなたは邪魔なのよね」


そう言ってフッと笑う彩乃さんが怖い。

あたしはおもいっきり彩乃さんを睨み付けた。

目の前に置いてあるコーヒーをおもいっきりぶっかけたいぐらいに腹が立った。 


ここに居たくない。

この人の顔、二度と見たくない。 


こんな凍り付くような空気の中には居たくない。


あたしは鞄の中に入っている財布を取り出し、その中から千円札を取り出した。 


バンッー


と、勢いよくその千円札をテーブルに叩きつけた。 

頼んでもないのに飲んでもないのに金なんか払いたくなかった。