ふたつの羽根


「何がいいたいんですか?」 


彩乃さんはカップに手をつけ真っ赤な口へと運ぶ。

口に含んで戻すカップには真っ赤に染まる口紅が装着していた。

それはどうみても不吉にしかすぎなかった。


「陸は年下はダメなのよ」 

「は?」

「陸ってさ、今まで全員年上よ?年下なんて見向きもしない奴なのよ。あなたさ陸と付き合って長いんでしょ?なのに何でまだヤってないの?」


もー嫌。

本気で帰りたいと思った。 


この人が吐いたタバコの煙が、まだ周りを彷徨う中、キツイ香水と交ざり合って息苦しい。


頭が痛くなるほどのキツイ香り。 

あたしは唇を噛み締め口を開く。 


「何なんですか?あたしは陸とヤりたい為に付き合ってるんじゃないし、別れませんから」