行く所もなければ行きたい所もなかった。
唯一いつも居る、あの階段さえ今日のあたしは行きたくなかった。
結局、たどり着いた所と言えば自分の家だった。
リビングに行き冷蔵庫を開ける。
その中に入っている500のペットボトルの水を取り出し、嫌な事すべて流すようにして冷たい水を喉に流し込んだ。
そのペットボトルを握りしめたまま、あたしは自分の部屋に向かった。
テーブルの上にペットボトルを置き、疲れきった体をベッドに預け枕に顔を埋めた。
静かな部屋の中、頭の中に彷徨ってくるのは、あの彩乃と言う女の人。
陸と彩乃と言う人が体の繋がりがあったと思うと、何故か無性に胸が締め付けられて苦しくなる。
そもそも、それがバイトとは…
だけど今更どうこう言っても仕方がない事。
もう2年ぐらい前の事なんだから…



