「彩乃と他の人と寝るだけで俺らは金を貰ってた。そう…それが俺らのバイト」
あたしの目の前は真っ暗になっていた。
額に手をあてて頭を下げるあたしに拓真先輩は止まらず話を続けていく。
「それが1年半続いた時だった。高一の冬…陸が止めるって言ってきた。まぁ俺も一緒に止めたけど、でも彩乃は陸の事すげぇ気に入ってた。けど見向きもしない陸に諦めたのか彩乃はロスに留学するって言って行ったんだけど…」
ふと拓真先輩に目を向けると指に挟んであるタバコは長い灰の固まりを作っていた。
その灰がポトっと地面に落ちて崩れ、それが風と一緒に散らばる。
タバコを口に運ぶ拓真先輩を見て、あたしは立ち上がった。
…頭、痛い。



