恐る恐る振り返ると鉄筋コンクリートで作られた小さな物置小屋の横にあるベンチに誰かが寝転がっていた。
…拓真先輩、居たんだ。
拓真先輩は立ち上がり、あたしの所まで来てベンチに腰を下ろす。
胸ポケットからタバコを取り出して1本、口にくわえ火を点ける。
立ち尽くすあたしに拓真先輩は“座れば?”と言うようにベンチに指差す。
従うようにあたしはベンチに腰を下ろし「あの…陸は?」と尋ねる。
「あーアイツ今日は来てねぇよ。里奈ちゃん聞いてねぇの?」
あたしはコクンと頷く。
陸…来てないんだ。避けてたのバレたのかな…
正直、拓真先輩とも顔を合わせずらい。
拓真先輩もあの彩乃って人を知っているわけで…
陸に“誰?”って聞いたら“知り合い”って言われて…
やっぱし、どうしても聞きたい。
「あの…」



