ふたつの羽根


何故か授業を受ける気にはなれない。

やはり思い浮かぶ事と言えば、あの女…


“引き離すわよ”


その言葉が頭の中で駆け巡るようにして流れていく。

それがあたしの気分を悪くする。


階段を下りようとする足を止めて、あたしは階段を上りはじめる。

田上が教室に来たなら屋上には誰も居ないだろう。


屋上までたどり着きドアノブを握りしめ一気にドアを開けた。 


勢いよく入り込んだ風に、あたしはスカートを押さえつけベンチに目を向けた。 


…誰も居ない。


足を進めベンチの前のフェンスにしがみ付き一息吐いたその時だった…



「サボり?」


誰も居ないと思った屋上から突然、声が聞こえ、あたしの肩はあがる。