「いや…別にってか、陸の過去知ってる?」
…って、あたしまた聞いてるし。
「はっ?過去?」
当たり前に声を上げてくる有亜を見て、あたしは素早く首を振る。
「ごめ…。何でもない」
そして何度か分からないため息が漏れ、有亜は不思議そうに首を傾げる。
「次って、何の授業?」
隣から聞こえてきた声に目を向けると田上はダルそうにして椅子に腰を下ろしていた。
あたしが首を傾げると「数学」と有亜が答える。
「数学かよっ…」
田上は眠そうな目を擦りながら呟き、机に顔を伏せた。
チャイムが鳴ったと同時に、あたしは有亜の肩を叩き立ち上がる。
「ごめ…。保健室に行ってくる」
「えっ、気分悪いの?」
「うーん…。有亜、先生に言っといて」
「あっ、うん」