ふたつの羽根


「ううん。初めてだよ。凄い広かった」

「だろ?初めはさぁ電車で行ってたけど乗り換えあるから、すげぇダルくて」


眉を寄せながら言う拓真先輩に「電車キライそう…」とあたしは苦笑いをする。 


「キライっつーか乗り換えがヤダね」 

「確かに…」



しばらくして拓真先輩はデジタル時計に目を向けながら「あいつ遅ぇ…」と呟く。 


確かに…

確かに捨ててくるだけなのに異様に時間が掛かりすぎている。 


何してんだろ陸…

扉の方に何回も目を向けても一向に戻ってくる気配すらない。


あたしは気になり、その場で立ち上がる。


「ちょっと見てくる」


拓真先輩の微笑んだ顔を見て、あたしは外に出た。