ふたつの羽根


落ちた矢を拾い「こっから投げれば?」と的の真ん前で言う。


「そんなの誰だってど真ん中狙えるよ」

「里奈ならわかんねぇよ」 

「ひどっ…」



陸は笑いながらあたしの隣に来て、持っていた矢を投げる。 

見事にど真ん中に刺さった矢を見て「うわっ…」と声を漏らした。


台に置いていた缶コーヒーを手に取り「だって里奈よりすげぇもん」と言ってまた笑った。


…なんかムカつく。

だけど、そのムカつく部分も全て好きなんだと思う。 


陸は飲み干した空き缶をカウンターに持っていき「うわっ!すげぇ…」と声を漏らした。 


ちらっとカウンターの奥を覗くと大量にビンと缶が溢れかえっていた。


わぁっ…