「あっ、里奈ちゃん何か飲む?」
首を傾げて聞く拓真先輩に「じゃあ、オレンジで」と言って周りを見渡した。
今日、拓真先輩ひとりなんだ…
ふとビリヤード台に目がいき、そこに置かれている矢を手に取った。
「里奈ちゃんオレンジ置いとくよ」
拓真先輩の声に「はーい」と返す。
手に持っている矢を、少し離れた所の壁に掛けてある的を目がけてスッと投げた。
その矢は全く当たる事もなくポトっと下に落ちる。
「へーたーくーそー」
いかにも馬鹿扱いされた陸の笑い声にムッとし頬を膨らませる。
その膨らました頬をポンっとつっつかれ一気に口の中の空気はなくなった。
陸は手に持っている缶コーヒーをビリヤード台に置く。



