ふたつの羽根


店員さんはショーケースの鍵穴に鍵を差し込み「どちらですか?」と扉を開ける。 


「その真ん中にある…」


あたしは指差しながら「これです」と呟く。

店員さんはそのZippoを手に取り「どうぞ」とあたしの手の平に置く。 


銀色のZippo…


その真ん中には2枚の羽根が重なり合うように削られていた。 


あたしは迷わず店員さんに差し出す。 


「これ下さい」

「名前入れますか?」

「名前?」


首を傾げるあたしに「2人の名前、入れれますよ?時間はすぐなので」と店員さんは微笑んで話し掛ける。 


入れられるんだ名前…


「じゃあお願いします」


あたしは手に持っているZippoを店員さんに預け、差し出された白い紙に、あたしと陸の名前を書いた。