ふたつの羽根


倒れかけたあたしの背中に陸は手を回し覆いかぶさるように、あたしの背は床にくっつく。


真上から降ってくる陸の唇が凄く優しくて、全身に熱さが伝わる。 

降り注ぐキスの途中、陸の手があたしの太股に触れた時、小刻みに体が震えた。 


それに気付いた陸は手を止め、そっと唇を離す。

お互いの鼻と鼻が触れ合う距離…


「ごめ…」


陸の吐息があたしの顔にかかり、あたしは素早く首を振る。 


あたしから身体を離し陸は一息つく。


乱暴に髪をクシャクシャと掻きながらタバコを手にする。 

タバコをくわえる陸を見ながら、あたしは上半身を起こした。 



カチッっと鳴る音とともに顔をしかめる陸。


ごめん…陸。