「へー泣きそうになってんのに?」
頬杖をつき意地悪そうな笑みを漏らす陸にあたしは眉を寄せる。
「違うよ。パパも幸せにやってたんだなって思っただけ」
強めに言い切るあたしの顔を見て、陸はもう一度笑う。
だって、本当にそうなんだもん。
「泣き虫」
「だーから…」
あたしの言葉を遮り、その開いている唇を閉じるように陸は自分の唇を重ねてきた。
後頭部にスッと手を回し、今までになかった深いキスをしてくる陸にあたしの息は保ちそうになかった。
時たま離れていく陸の唇から何度も“好き”と言う言葉を浴びせられ強く押しあてられた唇に耐えられなくなり、あたしの体は後ろに倒れかける。



