ふたつの羽根


陸は持っていた額をテーブルに置き、新しいタバコを口にくわえて火を点ける。 


陸の吐いた煙が風と一緒に交ざり合い、あたしの頬にあたる。 

目を擦るあたしに「あっ、ごめ…」と言って陸は手で仰ぎ口を開く。


「その写真に写ってた父親、今の俺の親父だから」

「えっ…」


体の全てが止まったかのように固まり、目だけ大きく見開いた。 

目が合ってすぐ陸のほうから目を逸らしタバコをくわえたままテーブルに置いてある額をトントンと人差し指で叩く。 


「俺の親もさ小さい時に離婚してて俺が小6の時に里奈の親父が来た」 


あたしが額に目線を移すと「里奈が手に持ってた。この羽根ともう一枚の羽根」と陸は呟いた。