ふたつの羽根


テーブルに置かれている何枚かのパンフレットを手に取り、あたしは口を開く。 


「陸。大学行くんだ」


陸はタバコを口から離し「あぁ」と言いながら煙を吐く。 


「里奈は?」

「えっ、あたし?…あたしはまだ考えた事ないな」


手に持っているパンフレットをパラパラと捲り中身を見ていく。


「まっ、俺も2年の時は何も考えてなかったしな…っつーか休みすぎて卒業できっかもわかんねぇ」 


笑いながら言う陸に「笑い事じゃないよ。ちゃんと卒業しなよ」とあたしは苦笑いをする。


「頑張る」


そう言って煙を吐く陸が「里奈、灰皿とって」とテレビ台に指差す。