「……寧衣くん?」

ほらね。

だめだよ、そんな顔して男の顔を覗き込んだら。

純粋で綺麗な目が俺を捉えて離さない。

初めはまともに合わせてくれなかったのに。

この短期間で浅海さんはほんとかなり変わった。

いや、それを求めていたなのは紛れもないこの俺なのに。

おかしいな、ほんと。

困らせるってわかっているのに。

次はどんな顔をしてくれるんだろうって、気がつけばそんなことを考えていて。

「……俺は、浅海さんとあんまり話せなくて面白くなかったかな」

「え、そ、そうだったかな」

「そうだったよ。みんなと楽しそうで、俺にあんまりかまってくれなかったでしょ」

そう言いながらまた彼女の指に触れると、大げさだと思うほどビクッと大きく反応して。

彼女のそんなウブな反応がまた俺の心臓を走らせる。

「そ、そんなこと……っ、」

浅海さんは言い返そうとしてきたけど、心当たりがあるのか、語尾がだんだん小さくなる。

俺のことを構う義務なんて、浅海さんにはこれっぽっちもないのに。

わかっているのに。

俺の口は、手は、止まってくれない。