「え〜あれのどこがそう見えんの〜?!ただ中1からずっと同じクラスってだけだから!私も寧衣に興味ないし向こうも興味ないし!昴は果てしなく論外だし」

「果てしなく……」

尾崎くん、それはそれで可哀想な気もするけど。

「寧衣、ずる賢くて可愛くないからなー」

「え、ずる賢い?」

全然そんな風には見えないんだけど。

「ああ見えて本当はわがままだし」

「はあ……」

私のイメージとは随分かけ離れてるなあ。

「本人も自分のそういうところ自覚してるから、外では必死に隠してるんだけどね〜」

「そうなんだ……」

「でも、姫茉のことになると寧衣って自分の気持ちに結構正直かも」

羽芽ちゃんのそのセリフにトクンと胸が鳴る。

「あ、なんかそれは私も思った!姫茉が絡むとちょっと子供っぽくなるよね寧衣くん」

「わかるわかる!感情を顔に出すっていうか」

ええ……そ、そうなのかな。
私は、単純に誰にでも平等に優しい寧衣くんしか知らないけど。

「ふふーん。寧衣、姫茉と出会って確実に変わってるよ。これからも楽しみだね」

羽芽ちゃんは、なんだか何かを納得したように楽しそうに笑ってそう言った。