小悪魔王子に見つかりました


「わああ!さっすが美容師志望の羽芽!!てかまじで姫茉、ほんっとかわいいな……」

「わかる、なんで今までこの顔面隠してた。大好きなんだが」

あったかい。
なにもかもが。

みんなの弾んだ声が、心に沁みて。

そう思った時には、私の瞳から一筋の涙が流れて落ちてしまった。

「へ?!姫茉?!どした!!え、なに気に入らなかった?!前髪いじったのダメだった?!それともなに痛かった?!」

大慌てでそう言う羽芽ちゃんに、ブンブンと首を横に振る。

「……っ、う、嬉しくて、こういうの、」

「姫茉……」

私の名前を優しく呟いた羽芽ちゃんがギュッと私を抱きしめた。

見た目は煌びやかで、派手で。

だからこそ、そういう子たちには、私のこんな気持ち理解されないだろうと、勝手にそういう色眼鏡で見ていたのは私だったんだ。

今ならわかる、ちゃんと寄り添うことができる子たちなんだって。

そもそも、初めて一緒に弁当を食べた日、

途中で突然出て行った私を、今までこうして受け入れてくれているんだから。

「姫茉のこと私らにもっと教えてくれないかな?」

羽芽ちゃんのその言葉にものすごく驚きつつも、私はうなずいてゆっくりと過去のことを話した。