「羽芽だけの浅海さんじゃないからね」

寧衣くんの手が、そのまま横から私の肩に回されて、

一気に距離がゼロになる。

あの、ものすごーく近いのですが。

「いや、私だけの天使だよ」

「違う。先に浅海さんを見つけたのは俺だよ」

「寧衣より先に姫茉と出会ってたのは私だし」

ふたりの視線がバチバチッとぶつかり出す。

「あの、ちょ、ふたりとも……」

「どっちでもいいけどさー浅海ちゃんまだ弁当食べ終わってないでしょ?休憩あと10分しかないけど大丈夫なわけ?」

「あっ!」

横から入ってきた尾崎くんの言葉にハッとする。

そうだ。私、食事途中に教室飛び出しちゃったんだ。

「ごめん、浅海さん!」

「もー!寧衣のせいよ!ごめんね姫茉!」

ふたりにそう謝られながら、私は再びお昼ご飯を再開した。