それに……。
最上くんの隣の席は最上くんが休み時間によく一緒に話している井手上さんなのに。
井手上 羽芽さん。
すらっと抜群のスタイルと綺麗な顔をした、これまた最上くんと同じ男女問わず人気者の女の子。
生まれつきであろう赤茶の髪にそれと同じ色をした瞳。
なっがいまつ毛にぷるんと血色のいい唇。
大手のモデル事務所にスカウトされたことあるとかなんとかで、
とにかく彼女もまた、私みたいな人間とは絶対に交わらないような人。
そんな人たちと日頃から仲良くしてる最上くんだ。『華やか』そんな言葉がほんとうによく似合う。
だからこそ、考えてしまう。
どうしてわざわざ前の席の私なんかからペンを借りたんだろうか。
いや、特に理由なんてないだろう。
たまたま、ただの気まぐれだろう。
そうだとしても、とにかく、ちょっと
いやかなりびっくりしてしまった。



