「大丈夫。俺がずっと浅海さんのそばにいるから」
「……寧衣くん」
「いや、俺いなくても絶対大丈夫だと思うけどね」
「……っ」
寧衣くんの優しい言葉が、恐怖で冷たくなった私の心を溶かすように温める。
寧衣くんがいなくても大丈夫なんて、今の私にはそんなことあるわけないよ。
彼の袖を掴む指先に力が入る。
怖い。またあんな風にクラスメイトに思われたら。
『ねぇ〜姫茉ってさ、最近調子乗ってない?』
『別にたいして可愛くもないのにさ〜本気にするからまじでウケるよね〜似合わないつーの』
ギュッ
寧衣くんの袖を掴んでいた手が、彼の手によって包まれて、驚きで顔を上げる。
「まあ、正直、今の浅海さんを俺が独り占めしてもっと可愛がってもいいんだけど」
「へっ……」
「こんなかわいいことされたら、スイッチ入っちゃうよってこと」
「……えっと」
寧衣くんがなんの話をしているのか分からなくて、戸惑う。
スイッチって……。



