「うん!やっぱりめちゃくちゃ似合ってる!いや、想像以上!」
「あ、あの、寧衣くん、これ私のために買ったの?」
「……んー半分はそうだけど、半分は俺のため?」
いやいやこれのどこが寧衣くんのためだっていうんだ。
またお金を使わせてしまった。
寧衣くんさっき、バイトしてるって言ってたよね。
寧衣くんが汗水流して働いて稼いだ貴重なお金を、私なんかに使うなんて。
こんなにおしゃれなデザイン、絶対それなりの値段するよ。
おしゃれをしなくなった私にだってわかる。
かわいいものへの憧れは人一倍あるから。
「昨日、約束したから。俺の目がおかしくないって証明するって。絶対みんなびっくりするよ」
「え?!ちょ、ちょっと待って、このまま教室行くの?!」
思わず、振り返って踵を返した寧衣くんの袖を掴んで引き止める。
「え、当然でしょ?」
「っ、」
当然って……。
長い前髪は私の鎧だった。
それなしで教室に入るなんて。



