「SHR、始まっちゃうよ」
「うっ、」
寧衣くんは私が目を閉じるまで、渡したいものを渡す気はないらしく。
すっごく恥ずかしいけど、仕方なく、ギュッと目を閉じる。
緊張でまぶたがピクピクと動いちゃいそうだ。
「ちょっと待ってね」
ゴソゴソとバックから何かを取り出す音が聞こえたかと思えば、
寧衣くんの香りがフワッと鼻を掠めて。
前髪に何かが触れた。
っ?!
きっと、寧衣くんの指先。
そして、ほんのわずかに、髪の毛が引っ張られるような感覚。
痛みは全然ないけれど。
これは一体……。
「はい、できた。目、開けていいよ」
そう言われて、ゆっくりと目を開ければ。
私の目に一気に明るい世界が広がった。
昨日、寧衣くんに前髪を触られたときと同じクリアな世界。
昨日と違うのは、頭を振っても長い前髪が降りてこないということ。



