「おはよ!」
「お、おはようっ」
誰かと学校で面と向かって「おはよう」なんて交わしたのはいつぶりだろうか。
この胸の高鳴りだって、初めて彼と話したときは苦しいって思っていたのに。
今は心地いいとさえ思うわけだから。
「あの、井手上さんと尾崎くんはいいの?」
かなり後ろの方で歩くふたりのことが気になりながらそう聞く。
いつもは3人で登校しているから。
私なんかに話しかけてていいのだろうか。
「全然。浅海さんに早く会いたいって思ってたからちょうどよかったよ!」
「……っ、」
すぐそういうことをサラッというのは、寧衣くんの悪いところだと思う。
本気にしない、本気にしない。
寧衣くんなりの気の遣い方なんだ。
「浅海さんに、渡したいものがあったから」
「え、渡したいもの?」
「うん」
寧衣くんが私に渡したいものってなんだろう。



