「かわいいのに」
「そんな何度も言わないで……」
からかってるんだってことぐらい理解してるつもりなのに。
彼の、教室にいる時とちょっと違う、甘さを含んだ声に言われると。
思わずドキッとしてしまうから。
寧衣くんの声には、人をおかしくさせてしまう成分が入っているんじゃないかと思ってしまう。
「まあ、ちょっとだけ、誰にも見せたくないって気持ちもあるけど」
それってやっぱり、この姿は人様に見せない方がいいってことじゃないか。
寧衣くんったらひどいよ。
あげたり落としたり。
そんなふうに人を期待させるようなこと言っちゃダメなんだから。
「だから言ったのに……」
「あ、今絶対、変な風に捉えたでしょ。違うからね」
「えっ、」
「かわいすぎて誰にも見せたくないってことだよ。他の男が集るの目に見えるし」
な、何を言っているんだ寧衣くん。
そんなことあるわけないじゃないか。
「寧衣くんほんと変な冗談言い過ぎだよ」
「本気だけど?じゃあ、俺の目がおかしくないって証明できたら、信じてくれる?」
寧衣くんはそう言って私の頬に手を添えてから、ニッと片方の口角を上げて笑った。



