「ほんっと……姫茉って小悪魔だよね、最近思う」
えぇ、私に小悪魔要素なんて全然ないけど。
というか、それを言うなら……。
「それは寧衣くんのほうだよ」
「俺?絶対に違う」
絶対にそうだ。
「……ね、姫茉、そろそろ落ち着いた?」
「えっ?」
「息、キツそうだったから。落ち着いたならもっかいしたいんだけど」
「へっ……でも、」
ハッとして外の音に集中すれば、樹くんたちに見つかったみんなの声が徐々に聞こえて。
いや、これはそろそろ見つかっちゃうよ……。
「樹くんたち、来ちゃうかも」
「でも、今逃したらまた当分おわずけな気がする。俺たち、今まで結構いろんなものに邪魔されてきてない?」
「……それは、」
なんとなく、私も感じてはいたけれど。
特に、最上家では……。
「あと一回」
「……うん、一回」
「うんと長いやつね」
「へ、ちょっ、───っん、」
寧衣くんの一言一言が、いちいちドキドキさせるから。
これから先、私の心臓が持つのか心配だ。
どこまでも優しい小悪魔。
あと少しだけ───。
私たちを、見つけないで。
───END───



