「……ごめんね、嫌な思いさせちゃって」
「ううん。違う。姫茉はちゃんと俺に聞いてくれたでしょ。いいよって言ったし俺。それなのに結局もやもやしてる自分がいや」
「っ、」
フワッと首筋に寧衣くんの髪が触れてくすぐったい。
今、私の肩に寧衣くんのおでこが乗っている。
どうしよう……。
この静かな暗闇。
私の心臓の音、聞こえちゃうよ。
「だからさ、姫茉」
「……っ、」
何度も後ろからその距離で名前を呼ばれたら、いちいち体がびくついて恥ずかしい。
わざとかなってくらい、吐息混じりに呼ぶから。
髪で隠れていた耳が、寧衣くんの指先によって空気に触れる。
「今だけ姫茉のこと、俺の好きに触っていい?」
ダメなんて言うわけがないのに。
むしろずっと……。



