「あ、姫茉〜!酒井くん!今からみんなでかくれんぼするよー!」

酒井くんとふたりでみんなのいる部屋に戻ると、陽香ちゃんがそう言った。

「え、かくれんぼ?」

「そう。本日の主役である樹くんの要望で。酒井くんと一緒に鬼をしてみんなのこと探したいんだってさ」

と羽芽ちゃんが付け足す。

「え、俺と鬼?樹くん、鬼でいいの?」

酒井くんが少し戸惑いながらそう聞けば、樹くんが酒井くんのズボンをギュッと握ったまま頷いた。

……か、かわいい。

子供ってどちらかと言うと隠れたがると思っていたからちょっと意外。

「……みんな、かくれて」

はっ、樹くんがしゃべった!
本日、2回目

酒井くんとふたりの時はよく話すのかな……。

「しゃ!この屋敷広いからな〜隠れがいがある。原宮〜入っちゃいけない部屋とかある?」

尾崎くんがなにやら念入りに準備運動しながら和子ちゃんに聞く。

「ううん。おばあちゃんが住んでるのは隣の家だし、ここ全部自由に使って大丈夫だよ」

「うぉー!絶対生き残ってやる!」

尾崎くんのやる気に満ち溢れた声を合図に、私たちのかくれんぼ大会が始まった。