「ごめん、急に呼び出して」

「ううん、全然大丈夫っ」

並んで腰を下ろした縁側は、風がよく通って気持ちがいい。

酒井くん、私になんの話があるんだろうか。

気になりながら彼の横顔を視界の端でチラッと見る。

「それに、この間もほんとごめん」

「……ううん」

もう大丈夫なのに。
こんなに謝られちゃうと逆に申し訳なくなっちゃうな。

酒井くんに押し倒された瞬間、全く怖くなかったといえば嘘になるけど。

「嫌いになったよな、俺のこと」

「そんな!嫌いにはならないよ。酒井くんに懐いてる樹くん見てたら余計」

酒井くんの樹くんへの接し方を見ていたら、酒井くんは本当に心の底からいい人だって伝わる。

「……ありがと、」

ぽつりと呟くようにそう言った酒井くんが、大きな綺麗なお庭を眺めながら、ゆっくりと息を吸って話しだした。