「えっ、ケーキって姫茉の手作りなの?」
横に座る寧衣くんにそう聞かれて頷く。
「まず樹くんのお口に合うかどうか不安だけど……」
とっても凝ったイラストを羽芽ちゃんひとりに任せることになっていたから。
土台であるケーキは私がやろうって思って。
樹くんに少しでも、素敵な思い出を残せたらって気持ちで。
「……姫茉の手料理、俺より先に樹くんが食べるんだね……」
わずかに頬を膨らませた寧衣くんが可愛くて笑いそうになるのを堪える。
ケーキは今から寧衣くんも一緒に食べられるのに……。
そもそも、樹くんだけじゃない。
寧衣くんやみんなの口にも合うか……食べてもらうまでドキドキだ。
主役である樹くんが、ケーキを目の前にしても無反応なのがだいぶ心配だけれど。
大好きな恐竜がケーキに描いてあってもなかなか緊張はほぐれないのかな。
いや、急に自分よりも体の大きな人たちに囲まれたら無理もないか。
樹くんの様子をみんなが気にしながらも、
「電気消すぞー」という尾崎くんの声に本格的に誕生日会らしい空気が漂った。



