小悪魔王子に見つかりました


───スッ

玄関から伸びる長い廊下を歩いて、半開きになっていた襖をさらに開ければ、

一気に賑やかな声が耳に響いた。

「え、なんで酒井隆一がいるの?!」

「ちょっと和子ちゃん!よそ見しないで!
今、翠が可愛く描いているんだからね!動かないで!」

「あー、うんうん、ごめんごめん!翠ちゃんほんと絵うまいね〜!」

「おーい!昴!もっと早く走れよー!」

「いや、望、お前まえに会った時よりも確実に重くなってるんだからな!人の背中の上で跳ねるな!」

「……」

な、なにこれ。

樹くんは酒井くんの手を引っ張って部屋の端に向かっちゃうし。

「カオス、」

「だね」

寧衣くんの声に頷く。

「原宮、尾崎、ほんとごめん」

翠ちゃんと望くんの相手をしているふたりに、木野くんが慌てて謝るけど、

翠ちゃんと望くんは、そんなのおかまいなし。

すごい……お屋敷が完全に児童館化しちゃってるよ。

一応、誕生日会用の部屋の飾り付けはバッチリで、『いつきくん おめでとう』の可愛らしい文字も、

壁にデカデカと貼られているんだけど。

当の本人は部屋の隅で酒井くんとコソコソ話をしているし……。

大丈夫かな……今日。