まさかあの中に、木野くんの弟である樹くんがいたなんて。
「その日、樹、幼稚園の友達の家にお泊まりに行ってて。翌日その友達の家族と公園に出かけたらしくて」
と木野くんが付け足す。
「うわぁ、そうだったんだね!」
「うん。で、樹、彼と遊んだのが相当楽しかったのか、ずーっと『隆一くん』の話しててさ。今日たまたま会って、それはもう道の真ん中で大はしゃぎで」
今こんなにおとなしい樹くんが大はしゃぎってどんな風だったんだろうか。
ちょっと気になっちゃう。
「樹がそんなになること滅多にないし、挙げ句の果てには『隆一くん来てくれないなら今日行かない』とか言い出すから。浅海も知り合いだし、これはもうそういう運命なんだろうなって」
「なんのだよ」
寧衣くんが木野くんの最後のセリフにすかさずツッコむ。
なるほど、そっか……そんなことが。
それなら酒井くんが来るのもしょうがないか。樹くん、今も絶対酒井くんの手を離そうとしないから、
本当に懐いているんだ。
すごい……酒井くんって本当、老若男女に好かれる人なんだな……。



