「……それでね、この間、寧衣にやっと自分から、朱耶くんの連絡先、聞いたんだ」

「え!!」

「まじか!」

「急展開!」

ずっと言い訳ばっかり並べて、直接傷つくかもしれない可能性が怖くて逃げて。

だけど……。

「姫茉と寧衣のおかげだよ、ほんと」

寧衣本人にはまだなかなか言えないけど。

「ありがとね」

「ほんとうに私は何にもっ!羽芽ちゃんの勇気だよっ、寧衣くんは色々相談に乗ったのかもしれないけど!」

「いーや!姫茉を好きになった寧衣に感化されたから、結果的に私の背中を押したのは、姫茉なの!」

高校入試のときも恋も、私はいつだって姫茉とその笑顔に助けてもらってばかりなんだ。

「うぅ……ありがとう。私だってたくさん助けてもらってばっかだよ!羽芽ちゃん、全力で応援してるからね!」

「おうおう!なんかあったらこれからはなんでも話してくれ、羽芽!」

「ああこの3人でグループデートしたい〜!」

「陽香、気が早いよ」

そう瞬時に突っ込むけど。

「いや、私には見えるね、そんな未来が」

そう言って手で双眼鏡のポーズをして目に持ってきた陽香に笑う。

バカね……。

いつか、それぞれの好きな人と。
笑い合える未来を信じて。