「そういえば、寧衣くんってお兄さんいるんだね、」

『お兄さん』
そのセリフに、ドキッと心臓が鳴る。

「え、そうなん、初知り」

「寧衣くんのお兄ちゃんってことはお兄ちゃんもめちゃくちゃイケメンなのかな?え、姫茉会ったの?」

興味津々に、和子たちが聞く。

「あ、うん、昨日……」

「えっ、そう、なんだ……姫茉、会ったんだ、」

あ……どうしよう。思わず声が出てしまった。

今の私、あからさまに変な反応だったよね?

姫茉に、嫌な思いさせたかな。

「羽芽ちゃん、知ってるの?」

「あっ……うん、知ってる。姫茉、話した?」

「はっ、そうなんだ。ううん。昨日私たちに気を遣ってすぐに出て行っちゃって……。申し訳なかったなって、寧衣くんと話、あるみたいだったし」

「そっか……」

どうしよう。

朱耶くんのことになるとあからさまに動揺してしまう。

平常心、平常心……。