さっき、どちらにするか迷うぐらいには飲みたかった味。
でも……。
よく考えたら、それって……。
「大丈夫だよ、まだ俺飲んでないし」
「へっ、」
寧衣くんの思わぬ言葉に固まってしまう。
「間接キスになるの気にしてるんだ?」
「……っ、」
いたずらっぽく寧衣くんにそう言われて、みるみるうちに顔が熱く火照っていく。
気にしてたことバレちゃってた。
恥ずかしくて穴があったら入りたい。
こういう時、どういう反応してどういう返しをすれば正解なんだろうか。
何もわかんないよ。
そもそも普通の女の子は、異性との食べ物のシェアごときなんとも思わないことなのかも。
ほら、寧衣くんといつもいるような華やかな女の子たち、井手上さんとかは特に、
恋愛経験豊富そうだし。
慣れていなくていちいち過剰に反応してしまう自分が恥ずかしい。
「かわいいね、浅海さん」
っ?!
寧衣くんがサラッと放ったそのセリフにもさらに顔が熱くなる。
「っ、か、からかわないで、」
「からかってないよ、本気でかわいいなと思って言ったんだよ」
「……っ、」
そんなの嘘だ。



