すぐに唇が離れて、ふたたび視線が絡む。
柔らかい唇も、その潤んだ目も、いっそう俺をおかしくさせて。
「もっとしても、いい?」
彼女の肩に手を回してそういえば、コクンと小さく頷く。
頷いただけなのに、なんでそんなに可愛いの。
もう何にも考えられなくなるよ。
ゆっくり、今度はすこし角度を変えて。
もっと近く、長く。
姫茉を感じたいから。
フワッとかすかに甘いシャンプーの香りが鼻を掠めて。
ふたりの間に、数ミリもない。
0になる、その瞬間だった。
ガチャ
「寧衣、話って───」
!?
突然、部屋のドアが開いて聞こえた声に、俺たちはパッと体を離した。
「な……兄ちゃん……」
うそだろ。なんで……。
ポカンとしたままそこに立っていたのは、俺の4つ年上の兄。
最上朱耶だ。



