小悪魔王子に見つかりました


店員さんに声をかけられて注文の順番が回って来たことに気づく。

「はい。ミルクティーと抹茶ミルクティーをどっちもMサイズで両方ともトッピングにタピオカをお願いします」

緊張してテンパる私をよそに、寧衣くんはスラスラと流れるように注文をする。

飲み物を注文しているだけなのにその横顔は本当に絵になる。

カッコいいな……。

「かしこまりました。お客様のお会計890円です」

そう言われて手に持っていた財布からお金を出そうとしたら、

寧衣くんが「いいから」と自分の財布からお札を取り出して店員さんに「お願いします」と差し出した。

スムーズすぎる彼の動きに全然ついていけなくて。

2テンポ3テンポ遅れてる自分が恥ずかしくなる。

私と寧衣くんがちゃんと会話したのなんて昨日が初めてなのに、それでごちそうになってしまうなんて。