「寧衣くん、どうして私が今日、酒井くんと会うこと知っていたの?」
「えっ、あーー……ごめん。羽芽から聞いて。俺がずっとうじうじしてたから、背中押してくれたんだ」
「あっ、羽芽ちゃん」
「そっか、そっか」と言いながら、その目はキョロキョロしていて。
なんだか落ち着かない様子。
いきなり男の部屋って、やっぱりまずかったかな……。
いや、別に、すぐにどうこうするってつもりでうちにあげたわけじゃないし、うん。
けど……。
『アイツに、何にもされてない?』
『……う、うん。大丈夫』
やっぱり、さっきの姫茉のあの間はずっと引っかかるから。
「姫茉、本当になにもされてない?」
三角座りした膝に両腕を置いて。
その上に顎を乗せたまま、彼女を見上げるように問う。