……そして、やってきたのは俺のうち。

ここだと、外よりも落ち着いてふたりで話せると思ったから。

うちに来ないかと提案したら、姫茉がコクコクと頷いてくれて。

姫茉……。

さっき、つい昂って下の名前で呼んでしまったけど、

これ、かなり照れるじゃん、うそでしょ。

話してまだ日が浅いとき、一度『姫茉ちゃん』なんて呼んだことあるけど、

あの時と全然違う。好きって自覚したとたん、こんなに恥ずかしいの。

俺、これから大丈夫なのかな。
こんなことでいちいち動揺してたら、身が持たないって。

「……くん……寧衣くん?」

「はっ、ごめんっ、なに?」

ふたり分の飲み物を部屋の中央にあるテーブルに置いてベッドの側面を背もたれに座っていると、

隣に座る彼女に名前を呼ばれてハッとした。

多分、俺、全然大丈夫じゃない。