「あの、わ、私たちって……その、両思いって、こと、なのでしょうか」
なんで急に敬語なの。しかも今それ聞く?
いや、俺も夢見たいだと思っていたけど。
改めて『両思い』とか言われちゃうと……ね。
ほんと、浅海さんってずるいよ。
そういうの、計算なしでやるんだもんな……。
「俺はそう、思っています……」
つられて敬語で言うと、浅海さんの目が見開いて、頬がだんだんピンク色に染まる。
その顔、頼むから絶対他の人に見せないでよ。
羽芽たちにも見せたくない。
独占欲が、沸々と湧き上がる。
「浅海さん、俺の彼女になってくれる?」
浅海さんが隣にいないと、その笑顔を一番近くで見ていないと、
俺はダメだって気付いたから。
掴んだこの小さい手、絶対に離さないよ。
突然、足を止めた浅海さんが体ごとこちらに向けて口を開いた。
「……っ、は、はいっ。よ、よろしくお願いしますっ」
そう笑った彼女の目にうっすら溜まった涙を、親指で拭って。
「こちらこそよろしくね、姫茉」