「えっと、うちの中学の近くにあるカラオケ出たところで……駅のほう歩いてる、かな」

『そっか。酒井と一緒?』

「ううん。酒井くんとはさっき別れて……」

『よかった……』

寧衣くんの安堵するような声に、こっちまでホッとする。

『その駅で待っててほしい。すぐ行くから』

「へ、ちょ、寧衣くん?」

『……ごめん、お願い。待っててっ』

「あ、ちょっ、」

寧衣くんはそう言って、電話を切った。

寧衣くん、今、待っててって、すぐ行くって、言った?

私の聞き間違いじゃ、ないよね?
どうしよう。

『行かないで、アイツのとこなんか』

『酒井と一緒?』

寧衣くんの声が、何度も脳内再生される。
それって、どういうこと?

寧衣くんは、私が酒井くんと会うこと、知っていたの?

聞きたいこと、伝えたいこと、たくさんあるよ。