♪〜♪〜♪〜

カラオケ店を出てすぐ、バックの中からスマホの着信音がして慌てて手に取る。

嘘……。

画面に表示されている名前に目を見開く。

「寧衣くんっ!?」

すぐに通話ボタンをタップして、スマホを耳に当てた。

「もし、もし……」

どうしよう。

寧衣くんとこんな風に電話越しで話すの、初めてだよ。

最近話せていなかったから、よけいに、緊張とドキドキが入り混じって、心臓が大変なことになっている。

身体中が熱い。

『浅海さん、今どこ!?』

「へ、どこって……」

寧衣くんのいきなりの問いに戸惑ったけれど、

数日ぶりの寧衣くんの声に、泣きそうだ。

『行かないでっ、アイツのとこなんかっ』

「えっ……」

その優しい声に、胸がギュッと締め付けられる。

『本当はすぐに電話したかったんだけどっ、バイトがっ……あ、いや、そんなことどうでもよくてっ、……とにかく、浅海さん今どこにいる?』

寧衣くんの焦ったような声と、荒い息遣い。
もしかして、走っているの?