「……酒井くんになにされても、私の気持ちが揺らぐことはないよ」
「フッ、強がんなよ。柄にもないことするもんじゃないぜ」
「……強がってるのは、酒井くんの方だよ」
そういうと、私の肌に滑らせていた彼の手が止まった。
「……なにそれ、」
「なにがあったのかわからないけれど、酒井くんが今見ているのが、ほんとは私じゃないっていうことはわかるよ。強がって、そういうことすることで、向き合わないといけない現実から目を逸らしてるように見える。私と酒井くん、最上くんと他の誰かを、重ねないで。同じじゃないから」
声が震えそうになりながらも、それでも、強く、はっきりと。
「……っ、フハッ、まじかよ」
小さくつぶやいた酒井くんが私の手首を固定していた手を離した。
「すげぇ言うじゃん、浅海。変わったな。振られるしディスられるし、俺、なんなの、メンタル死ぬんだけど」
「はっ……あっ、えっと、ごめ───」
酒井くんの体が離れてくれたのと同時に、体を起こしながら謝ろうとしたら、
「謝んなーーーー」
わしゃわしゃと雑に、頭を撫でられた。



