今の酒井くんに、なんて声をかけていいのかわからない。
きっと、私の知らない世界で、酒井くんは傷ついてしまったんだろう。
だからって、こんなことが許されるわけじゃない。
「なあ、浅海。浅海が思ってるよりも、世のなか汚い連中で溢れてるよ。最上だって本当はどうかわかんない。とにかく、あとで知ってまた傷ついて落ち込むことになるなら、最初から期待しないで、浅海もどっかでうまく他の誰かとテキトーに息抜きした方がいいと思う」
「息抜きって……」
「俺、結構うまいよ。そういうのは満足させてあげられるかも。だからさ、一回試してみて考えてよ、こういう形の『友達』にハマるかも知んねーよ?」
まるで私のためだと言いだけなセリフだけれど、酒井くんのそれは、
ただの現実逃避だよ。



