「酒井くん、なにしてるの……」
嘘だと、冗談だと、あの笑顔で笑ってほしい。
「そんな顔しないでよ。ただ気持ちよくなるだけだから」
私のことを見下ろしながらあざ笑うようにいう彼が怖くて、全身が凍ったように固くなる。
今から酒井くんがなにをしようとしているかなんて、知りたくない。
「さっき、友達でいるって……」
「フッ、そうだよ。友達。浅海、知らない?友達にもいろんな種類があるって」
「えっ……」
「好きじゃなくても、恋人じゃなくても、そういうことするだけの関係ってあるんだよ」
知らない、知りたくない。
そんな世界の話。
「こっちの方が、めんどくさくなくて楽だよ」
彼の目が、今まで見たことないほど冷たい。
怖い。
その瞳はなにも映していない真っ暗で。
私のことだって、本当は見えていない。
そんな気がした。
なんにも変わっていない、酒井くんのこと、そう思っていたけれど、
違っていたの?



